世界中で、私たち人間に害を及ぼしているチャバネゴキブリ。
繁殖力も強く、駆除も困難なチャバネゴキブリの秘密を明らかにしました。
世界中のゴキブリの中で最も数が多いのがチャバネゴキブリです
色は茶色で、成虫の体の大きさは1センチから1.5センチほどの大きさです。
漫画などに出てくる大きいゴキブリはクロゴキブリです。
ですので、チャバネゴキブリのことを知らない人は、ゴキブリの赤ちゃんだと思ってしまうことがあります。
しかし、チャバネゴキブリは成虫でも他のゴキブリに比べると小さい生き物なのです。
チャバネゴキブリは外来種で、アフリカ原産という説と、東南アジア原産という二つの説があり、今でもはっきりしたことはわかっていません。
しかし、暖かい場所が原産地だということはわかっています。ですのでチャバネゴキブリは暖かい場所を好みます。
そして、チャバネゴキブリは寒さに弱く、20℃以下ですと繁殖することができませんし、15℃以下になると卵から孵化する割合が減少します。
在来種のゴキブリは、冬には冬眠するなどして、活動するゴキブリはいませんが、チャバネゴキブリは冬眠する習性がないため、一年中暖かい場所で活動することができます。
他の種類のゴキブリにも共通することですが、チャバネゴキブリは、暖かい場所、狭い場所、暗い場所、湿っている場所を好みます。
この全てを満たしている場所が、飲食店の厨房です。
飲食店の厨房には、さまざまな機器があり、その内部やモーターの周辺は、一年中暖かく、暗くて、狭い場所です。
それに厨房はチャバネゴキブリが栄養や水分を補給することもできるちょうどいい場所なのです。
厨房でチャバネゴキブリが潜伏しやすい場所は、コールドテーブルのモーター部分や陳列什器や食器棚などと壁の隙間、タイル張りの床や壁の場合は剥がれかけたタイルの隙間もチャバネゴキブリにはちょうどいい隠れ場所です。
ダンボールやマットの裏もチャバネゴキブリのすみかになりますから注意が必要です。
チャバネゴキブリのメスは死ぬまでに3〜7回産卵します。一度の産卵で20〜50個の卵を産みます。ですので、1匹のメスのチャバネゴキブリから、60〜350個の卵が生まれます。
チャバネゴキブリの卵はおよそ20日で孵化します。幼虫の期間はおよそ2ヶ月。その間に6回ほど脱皮を繰り返します。そしてチャバネゴキブリは羽化後、3日から5日で交尾を始めます。
チャバネゴキブリのメスの寿命は5ヶ月〜8ヶ月ほど。つまりチャバネゴキブリの繁殖力は凄まじく、放っておくとネズミ算式にジャンジャン増えてしまいます。
チャバネゴキブリが私たち人間に及ぼす害は、どのようなものがあるのでしょうか?
実はチャバネゴキブリが及ぼす害は、他の種類のゴキブリよりも私たち人間に及ぼす害は多いのです。
チャバネゴキブリは11種類以上のアレルギー誘発物質を運び込んだり、発生させたりしますし、さらにサルモネラ菌などの細菌類をまん延させることがわかっています。
サルモネラ菌は食中毒を引き起こす細菌です。ですので、厨房施設などの食良品を扱う場所での、チャバネゴキブリを放っておくということは、とても危険なことです。
そして、ゴキブリが店内や施設内にいるとなると、虫が苦手な人にはゴキブリと同じ空間にいること自体が精神的ストレスになります。その影響でスタッフの離職や、仕事の能率ダウンに繋がる恐れがありますし、店舗や施設のオーナー様ですと、ご自身が本来の仕事に集中することができないという不利益が生じます。
チャバネゴキブリが繁殖力が強く、私たちに害を与える虫だということはわかっていただけたと思います。
では、なぜチャバネゴキブリはしぶとく、簡単に問題が解決しないのでしょうか?
それは、ゴキブリの中ではチャバネゴキブリだけが殺虫剤への抵抗性を発達させることができるからです。
殺虫剤が効きにくい個体が存在し、その特徴を受け継いだ子孫たちが生まれ続けて、殺虫剤をいくらまいても問題を解決することが難しくなっているのです。
殺虫剤は虫を殺すために体の特定の部分に作用するように作られています。殺虫剤が作用する場所は神経系の一部のポイントです。そこにターゲットとなる部分があり、殺虫剤の成分はその場所に作用します。
ところが、薬剤抵抗性をもつチャバネゴキブリの個体は、その殺虫剤の成分がターゲットとしている場所に遺伝的な変異があるため、殺虫剤の影響を受けにくくなっているのです。
なぜ、チャバネゴキブリだけがそのような特別な体質なのかというと、チャバネゴキブリの消化器系には、膨大な種類の酵素があり、あらゆる成分を代謝することができるからです。
ですから、チャバネゴキブリは不死身なのではないかと思うくらい殺虫剤に強く、しぶとく私たちに害を及ぼし続けているのです。
では、そのようなしつこいチャバネゴキブリはどこからやってくるのでしょうか?
チャバネゴキブリは、長距離を飛行することはできませんし、屋内で自然発生するわけでもありません。
チャバネゴキブリは、何かしらの荷物などにくっついて外部から運び込まれます。
飲食店などでは、おしぼりのケースの底や生ビールの樽の底にくっついて運び込まれることが多いです。
中には段ボールの隙間に入って運び込まれる場合もあります。
他店と共有しているもので、頻繁に持ち込まれるものには注意が必要です。
こんなにしぶというえに突然現れるチャバネゴキブリですが、こまめに対策をしていれば、重大な被害になることを防ぐことは可能です。
チャバネゴキブリからお店や施設を守るのには、徹底した日々の清掃と、定期的な害虫対策を行うことが重要です。